「健康診断の結果をどう見るか」から始まるリスクアセスメント|産業医+労働衛生コンサルタント視点
第1章|健康診断の「結果判定」に潜む落とし穴
企業の多くは毎年健康診断を実施していますが、結果をどのように「活用」しているでしょうか?
健康診断後、次のような対応にとどまっていませんか?
- 「B判定だが再検査は勧めないでおこう」
- 「C判定だが本人が希望しないので様子見で」
- 「結果をExcelで保存して終わり」
実はこの対応、“リスクの見逃し”につながる非常に危険な状態です。
特にB判定・C判定とされた従業員には、日常業務との関連性を慎重に見極める必要があります。放置すれば、健康障害→労働災害→企業責任に発展するケースも。
判定区分の基本
- A判定:健康上問題なし。経過観察不要。
- B判定:軽度の異常あり。生活習慣の改善や経過観察が必要。
- C判定:要再検査・治療が必要な可能性あり。
- D判定:要精密検査。
- E判定:治療中。
実は、D判定やE判定の従業員は、すでに医療的な介入が必須な状態であり、多くの場合で医療機関の受診や就業制限が行われます。
一方でB判定やC判定の従業員は「すぐに治療が必要なほどではない」と見なされがちで、職場としての対応が遅れやすいのが現実です。
しかしこの**“軽度の異常”こそが、将来的な健康障害や労働災害の予兆**であるケースも多く、早期に職場環境や業務内容を見直すことで予防が可能です。
企業としてのリスクマネジメントの観点からも、B・C判定の段階で適切な対応ができるかどうかが、「防げたはずの災害」を未然に防ぐカギとなるのです。
第2章|産業医の腕が問われる「健診結果の読み解き方」
健診結果を単なる「通知表」として終わらせるのか、職場の健康戦略に活かせるかは、産業医の力量にかかっています。
重要なのは、以下のような“実務への橋渡し”です:
- B判定 → 経過観察か?軽作業化か?産業医の判断が必要
- C判定 → 精密検査→就業制限→配置転換が必要なケースも
- 血圧・血糖・肝機能など、業務との関連性を医学的視点で評価する
また、「現場での作業環境情報」がなければ、これらの判断も不十分です。
【事例①:B判定・肝機能異常】
ある製造業の従業員が、健康診断でB判定(AST・ALT軽度上昇)となりました。飲酒歴もあるため生活習慣の改善が指導されましたが、産業医が業務ヒアリングを行った結果、有機溶剤を用いた塗装作業に長時間従事していたことが判明。環境測定を実施し、適切な換気装置の強化とともに、作業従事時間の制限を指導。以後の健康診断で改善が見られました。
【事例②:C判定・高血圧】
建設業の50代従業員がC判定(血圧180/110mmHg)となり、産業医面談後すぐに精密検査を勧奨。治療開始と並行して、一時的に長時間運転業務から外れ、軽作業に配置転換。過度の労働負荷を避けながら治療を継続できたことで、3ヶ月後には140台まで改善。就業制限解除の判断に至りました。
このように、健診判定を「点」ではなく「線(業務・生活とのつながり)」として見る視点が必要です。
第3章|なぜ“労働衛生コンサルタント”の視点が必要か?
健康診断の結果だけでは「職場の何が影響しているか」までは見えません。
例えば、
- 有機溶剤を扱う作業場で肝機能異常
- 重筋作業が多い職場で高血圧が悪化
- 冷房の強い環境で腰痛・関節痛が増加
このような場合は、作業環境測定や現場調査を通じた**職場側の原因特定(リスクアセスメント)**が不可欠。
ここに、労働衛生コンサルタントの専門性が発揮されます。
第4章|当社の強み:一人の専門家が両視点を兼ね備える
株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所では、
▶ 精神科経験を有する産業医 ▶ 厚労省登録の労働衛生コンサルタント
という両資格を持つ代表者が、
- 健診後の面談・就業判定
- 作業環境の評価と改善指導
- 労災防止を目的とした継続支援
を一体的に提供できる体制を整えています。
情報連携の手間・コストが削減され、判断のスピードも向上。中小企業の限られたリソースでも、的確な健康管理が可能です。
第5章|まとめ:B判定・C判定は“サイン”です
健康診断の目的は「病気を見つけること」だけではありません。
それは、「職場に潜むリスクに気づき、未来の労働災害を防ぐこと」でもあるのです。
健診結果のその先まで見通せる産業医と、 職場環境を把握し改善できる労働衛生コンサルタント。
この2つの視点を兼ね備えた当社だからこそ、
企業の健康リスクに「気づき、支える」ことができます。
📞 ご相談・お問い合わせは下記まで
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監修:株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所 代表取締役 産業医/労働衛生コンサルタント 吉川 諒 【対応エリア】三重県を含む東海地方、近畿地方ほか全国対応可

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