【企業向け】食中毒の予防と対策|衛生委員会資料にも使える実践的ガイド

「企業向け 食中毒の予防と対策」

こんにちは。
株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所です。
本記事では、企業の衛生管理や安全衛生活動の一環として重要な「食中毒」対策について詳しく解説します。
夏季を中心に増加する食中毒は、職場の集団感染にもつながりかねないため、衛生委員会資料や従業員教育としてもぜひご活用ください。


目次

1. 食中毒とは?

食中毒とは、有害な微生物(細菌、ウイルス、寄生虫など)や化学物質を含んだ食品を摂取することで引き起こされる健康障害のことです。

主な症状

  • 嘔吐・下痢
  • 発熱
  • 腹痛
  • 脱水症状
  • 重症化すると痙攣、意識障害、腎不全など

2. 原因と症状の経過(代表的な原因別)

原因物質主な原因食品潜伏期間主な症状特徴
カンピロバクター加熱不足の鶏肉、生レバー1~7日(平均2~3日)発熱、下痢、腹痛少量でも発症、ギラン・バレー症候群の原因にも
サルモネラ菌生卵、肉、ペットのふん6~72時間発熱、嘔吐、下痢子どもや高齢者は重症化しやすい
腸管出血性大腸菌(O157など)加熱不足の肉、野菜、漬物1~10日(平均3~5日)血便、腹痛、発熱HUS(溶血性尿毒症症候群)を起こすことがある
ノロウイルス二枚貝(カキなど)、調理従事者の手指12~48時間嘔吐、下痢、腹痛非常に感染力が強く、少量でも発症
黄色ブドウ球菌おにぎり、サンドイッチ、手作り弁当30分~6時間嘔吐、腹痛毒素による症状で加熱では無効
ウェルシュ菌煮込み料理(カレー・シチュー)6~18時間軽い下痢、腹痛一度冷ました料理の再加熱に注意

3. 食中毒が起きやすい時期と場所

時期:6月〜9月(高温多湿)

  • 食品が腐敗・菌が増殖しやすくなる
  • 弁当・持ち帰り料理・バーベキューに注意

場所:職場や施設の「共同調理場」や「給食・仕出し弁当」

  • 調理環境の温度管理
  • 調理従事者の体調・手指衛生
  • 配送・保管時の温度管理

4. 食中毒の予防と対策の基本【4原則】

① つけない(清潔を保つ)

  • 手洗い(調理前・トイレ後)
  • 調理器具(包丁・まな板)の使い分け
  • 食品は清潔な容器で保存

② 増やさない(適切な温度管理)

  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下
  • 早めの消費・使い切りを意識
  • 弁当は保冷剤を使用

③ やっつける(加熱処理)

  • 肉や魚は中心温度75℃で1分以上加熱
  • 加熱後の保温(60℃以上)を意識

④ 持ち込まない(体調不良時の調理を避ける)

  • 調理者の体調管理を徹底
  • ノロウイルス感染の可能性がある人は調理禁止

5. 衛生委員会・企業での具体的な対策

  • 定期的な衛生教育・手洗い指導
  • 従業員向けのポスター掲示・掲示物配布
  • 給食・仕出し業者の衛生基準確認
  • 発症者が出た場合の連絡体制と初動マニュアル
  • ノロ・O157など感染症発症時の報告義務と休業措置

6. 万が一発症した場合の対応

  1. 医療機関の受診を最優先に
  2. 発症者の調理・出勤停止(感染症法に基づく)
  3. 保健所への報告(集団発生の可能性がある場合)
  4. 共有部分の消毒(トイレ・食堂・手すりなど)

まとめ|企業における衛生管理は「未然防止」が鍵

食中毒は予防が最も重要です。
特に夏場は、職場の衛生委員会でも積極的に食中毒対策を取り上げてください。
従業員一人ひとりの行動が、組織全体の安全と健康を守ります。


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監修:株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所                          代表取締役 産業医/労働衛生コンサルタント 吉川 諒                             【対応エリア】三重県を含む東海地方、近畿地方ほか全国対応可

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この記事を書いた人

労働衛生コンサルタント/日本医師会認定産業医
株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所 代表取締役
労働衛生の専門家として、企業における職場環境の改善や従業員の健康管理に携わり、これまで多くの事業所の産業保健活動を支援。
労働衛生コンサルタントおよび日本医師会認定産業医としての資格と精神科での臨床経験を活かし、医学的知見と現場感覚の両面から実効性のあるアドバイスを行っています。
三重県を拠点に、東海地方の企業様に対して、誠実かつ現実的なサポートをモットーに活動中。東海地方以外の依頼にも対応しています。
法令順守だけでなく、“従業員が安心して働ける職場づくり”を目指した、実践的な産業保健サービスの提供を心がけています。

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