🔍 はじめに:なぜ今、WBGTが注目されているのか?
2025年、厚生労働省は熱中症対策ガイドラインを大幅に改訂し、WBGT(湿球黒球温度)による環境リスクの評価が明確に義務化されました。
現在、当事務所が訪問中の複数の企業様でも、「WBGTってそもそも何?」「測ったことがないけど必要なのか?」というご相談を多くいただいております。
この記事では、WBGTの基本から、実際の測定方法、対策への活かし方までを初めてでもわかるように産業医・労働衛生コンサルタントの視点から解説します。
☀️ WBGTとは?熱中症リスクを“見える化”する指標
WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症の発症リスクを評価するための温度指数です。単なる「気温」だけでなく、以下の3要素を組み合わせて算出します:
- 湿球温度(湿度):汗の蒸発しやすさに関係
- 黒球温度(輻射熱):日射や周囲の熱の影響
- 乾球温度(気温)
📌 なぜ気温だけでは不十分?
気温が30℃でも湿度が高く風がなければ、体に熱がこもってしまい熱中症リスクは高くなります。
WBGTは、「体が受ける熱の負担」を数値で正確に表すため、厚生労働省や環境省が対策の基準に用いています。
🏭 実際の職場でのWBGT測定方法【初めてでも大丈夫】
📌 Step1:WBGT計(熱中症指数計)を準備
市販されているものには以下のようなタイプがあります:
機種名 | 特徴 | 価格帯 |
---|---|---|
A&D AD-5695D | 高精度・JIS準拠 | 約2万円〜 |
カスタム CT-317WBGT | 簡易・携帯型 | 約5,000円〜 |
👉 ポイント:できればJIS準拠の機種を選びましょう。
📌 Step2:測定場所の選定
- 屋外作業の場合:作業する高さ(1.2〜1.5m)で、日陰・直射日光両方で測定
- 屋内作業の場合:送風機・空調機器の風が当たらない場所で測定
📌 Step3:測定タイミング
最低でも以下のタイミングで測定しましょう:
- 作業開始前
- 正午前後(気温上昇のピーク)
- 気象庁から熱中症警戒アラートが出たとき
➡ 1日複数回の測定が理想的です。
📊 測定結果の活かし方と厚労省の行動基準(2025年版)
WBGT値に応じて、休憩や作業の見直しが求められます。
WBGT値(℃) | 行動の目安 |
---|---|
~28℃未満 | 注意(通常作業可) |
28~30℃ | 警戒(こまめな休憩を) |
30~31℃ | 厳重警戒(30分ごとに休憩) |
31℃以上 | 危険(作業中止を検討) |
👀 測定値は、ホワイトボードや作業所前に掲示し、「誰でも確認できる状態」にしましょう。
🧑🏭 よくある質問(訪問先で実際にあったもの)
Q1:簡易の気温計じゃダメですか?
➡ ダメではありませんが不十分です。 WBGTは「気温+湿度+輻射熱」の3要素を考慮しており、気温計だけでは高リスクを見逃す可能性があります。
Q2:室内作業でもWBGT測定は必要?
➡ はい、必要です。 室内でも湿度が高く風通しが悪い環境では熱中症のリスクがあり、屋外と同様に対策が求められます。
📣 まとめ:WBGT測定は「安全管理の新常識」
- WBGTは、気温・湿度・輻射熱を含めた熱中症リスク評価の指標
- 2025年から厚労省ガイドラインで、対応の義務化が明記
- 初めての企業様でも、簡単なステップで導入が可能
🏢 当事務所がサポートいたします
株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所では、WBGT導入支援、測定器の選定、社員教育、掲示方法までトータルでサポートしています。
WBGT導入や熱中症対策に不安のある企業様は、お気軽にご相談ください。
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監修:株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所 代表取締役 産業医/労働衛生コンサルタント 吉川 諒 【対応エリア】三重県を含む東海地方、近畿地方ほか全国対応可
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